「 テスの思い出 」 ( 8 )
ー 遊び ー


 慈光寺保育園に通っていた。
ここでは、「大きな栗の木下で」など習った。
帽子でも何でも、いろいろなものに名前を書いて。

 団子割という遊びが好きだった。粘土質の良質な赤土を掘ってきてお団子を作る。それにまたさらに皮を着けたりして強度を増す。そして、ちょっと高いところから落としてぶつけっこをする。
二重に作っておくと、大きなお団子が割れても、中から小さなお団子が出てきて、ここからが本当の勝負なのだった。

 また砂場に山を作り、トンネルを掘ったり、水路を作ったりした。それにバケツで水を汲んできて山の上から流すのだった。水が水路やトンネルを通って流れ、掘った池に上手く溜まるのがたのしいのである。

 子供って、何でこんなのがおもしろいんだろう。飽きることなくやっていたねー。

 この保育園までの通園は、きっとおやじさんがスーパーカブで送り迎えしてくれていたんだろう。自分には、ずいぶん遠いところにあるように思えた。

 家では、積み木が好きだった。あとは、粘土細工も好きだった。
鉄人とか粘土で作った。
 お絵かきも好きだった。宇宙船とかを書いて、そこからレーザービームを発射させたりするのだった。
 またウルトラマンや飛行機の模型を、「シュコー」とか口で言いながら手で持って、飛んでいるイメージを作り出し、その世界に入りこむのだった。ちょっとやってみるれば、今でも入り込めるかもしれないねー。

 マットレスなんてものが家に来たとき、ものめずらしかった。
今で言うベイズリー柄みたいな模様が入っていて立派だった。三つに折りたためるので、立てて、その三角の間に入り込んで遊んだ。友達が家に来たときも、それを引っ張り出してきてさんざん遊んだ。子供っていうのは、そんなことがおもしろいのである。飽きもせずに。

 七条のもう少し先にアロウダと言う市場があった。小さなお店が軒を連ねて、一つの市場になっている。そこの奥の方にデパートがあって、おもちゃ売り場があり、よく駄々をコネまくった。
おふくろさんの手を引っ張って、床に寝転んですりすりと回転したりした。最近は、駄々をコネる子供の姿もあまり見かけなくなったけれど、ときどき見かけると、おっ!やってるなー って思うのだった。
 駄々をコネてみて買ってもらえるときもあれば、通用しないときもあった。

 「黄金バット」を見ているとき、任天堂のミラクルトランプと言うのがあり、コウモリがあたりのトランプを探すのだ。
それとか、マジックハンドというのがあって、これも買ってもらった。すぐにこわれてしまったけれど、シュッと伸びて天狗のお面の鼻ではなかったけれど、いろいろ掴んでみた。伸びるのはいいけれどちょっと重いものはもてないだよね。

 あと地球ゴマって言うのも買ってもらった。ジャイロの周りにフレームがついていて、自由に回転の遠心力を扱うことが出来る。糸の上を渡らせたり、針の先に立たせたり。
 またヘリコプターも買ってもらった。竹とんぼみたいなもので、
三枚羽の周りにリングがついている。その中心を機械にはめる。機械の中心が、紐を引くとブンと回る。それで、その三枚羽のリングに回転が加わって、ふわりと飛ぶのであった。これでよく遊んだ。飛ぶのがなんとも不思議だった。

 森永チョコボールと言うのがあって、お菓子が出るところがクチバシみたいになっていて、「あたり」だと、銀のクチバシと、金のクチバシが出る。銀のクチバシは何枚だったかな。封筒で送ってお話九官鳥をもらったことがあった。

 駄菓子屋は、橋を渡ったところが一番近かった。
高槻小学校のバス停の脇で、おふくろさんの知り合いも駄菓子屋を始めた。あー坊の家のすぐ隣だった。
あとは、高槻小学校の裏門から入って正面玄関に抜けたところにも駄菓子屋があった。
 そこは、一人で行くことは少なかった。
ストローの先に接着剤の生乾きみたいなのを丸くして着けて膨らませると風船になる。そんなのよく買ったなー。

 砂場で貝殻を見つけて、貝の割りっこをする。砂の中から大きな立派な貝殻を見つけるとうれしかった。あこや貝の小さなの線が縦に入ってる、これが強かった。
小学校に行くようになって。校門の前に砂を埋めた場所があって、そこにいい貝がよく出てきた。

 ダイヤブロックを買ってもらったのはいつだったろうか。小学校一年生ころかな?
あれでレールを作って、斜めにかけて、レールに噛むように乗り物の方に足を着けると、スーーとすべり降りてくる。モノレールみたい。長いレールを部屋の中に高々とかけて、宇宙船やジェット機をすべり下ろしていた。

 それと、ソノシート。ドーナッツ盤を小さなプレーヤーでかけてよく聞いていた。何回も聞いた。多分「かわいい魚屋さん」とか「森の木陰でドンジャラホイ」(タイトルはなんだったろうか?)とか「ウサギのダンス」とか「一休さん」とか聞いていた。これまた、なんとも言えずにたのしいのであった。

 それと、夜布団に入って寝るときに、お話を読んでもらった。
いいでしょう。へへへ。
それがとてもおもしろい話で、確か、「ちんねん、あんねん、ぼんねん」の三人の小僧さんの話。笑い話で、大笑いしたのだった。これは、リクエストして繰り返し読んでもらった。「安寿と厨子王」の不思議な雰囲気の話も印象に残っている。

 子供なので、道で転んでみたり、あー坊やひー坊とケンカをしてみたり、おやじさんやおふくろさんにしかられてみたりするのだった。そんなときはテスと遊ぶ。テスの小屋の中に入らせてもらった事もある。
 坂道に面した方の窓の下にテスの小屋があった。
そこにはアジサイも咲いていた。テスは中型犬だったので、ちゃんと鎖でつながれていた。台風の時などは、玄関先入れてもらっていた。あとはずっと外で過ごしていた。その方がテスもきっと気に入っていたと思う。



写真3−テスの写真三枚−


「テスの思い出」 その八  ー 遊び ー
( 2006.7.9 by makio-ym  )


      

ソーラさんとアスカさんののん気な一日 第二部 「 テスの思い出 」