「 ミニダックスの腹筋 その一 」




 ミニダックスは、胴が長い。
腹筋の運動はその分きっと大変だろう。

 しかし、考えてみると、だからこそ、腹筋の力が必要である。
 長い胴を、思いのままにコントロールしてゆくためには、短い胴で必要とする以上に、強力な腹筋が必要だと思う。胴が長くなれば長くなるほどに二乗して腹筋の筋力が必要になるのである。

 蛇なども胴が長い。
しかし、ちょっとヘビたちの場合はシステムそのものが異なるようなので、考えないことにした方がいいかも知れない。
 いくら胴が長いからといってねー。ひどいよ、それはー。
一緒に一緒にしないでーって感じで。


 そんな訳で、ミニダックスの腹筋はちょっと興味の引かれることなのである。

 あっ、そうそう。腹筋といえばやはり、思い浮かぶのは、そう、カメである。

 カメの腹筋について言えば、あるのかどうだか不明である。
ホントは、あの甲羅の下に見事な筋肉か隠されているのかもしれない。
たまたま甲羅でおおわれているがために、みなさんにみせることが出来ないのかもしれない。
きっとカメたちも残念がっていることでしょう。
 あの甲羅さえなければ、裏返しになっても、スッと起き上がれるのである。

 まあ、そんな、ホントにどうしょうもない前ふりである。
それでは、さっそく、ミニダックスの腹筋について見てゆくことにしましょう。


 まず、ソーラさんを、おびき寄せて、つかまえなければならない。

 ところが、いざ、そんなことを考えながら、おびき寄せようとすると、どうも、構えがいつもの自然さを失うらしい。
あやしげな雰囲気が伝わるのかもしれない。なかなか来てくれないのである。

 敏感なソーラさんの場合さっと、観葉植物の台の下に潜り込んでしまうのである。

「ソーラ、ソーラ、でへへへ……。ちょっと来てみて。
ダイジョウブだよ。ちょっとだけ。デヘヘヘヘー。」

 だいたい、こんなことを、たまに考え付くから、ソーラさんは、わたしの所に寄り付かなくなるのかもしれない。

 これをふっと思いついたのは、10月の後半のことであった。
こんなことを考え付くのだから、秋も深まって、体調もよく、頭がさえていたんだろう。

 ぜんぜん来てくれないので、アスカさんを呼んでみる。

 何も知らないアスカさんはやってくるのである。
遊んでくれると思っているのである。

 シッポを振っている。

 アスカさんはちょっと膝の上に抱いてみる。
壁などに寄りかかり、膝を立てる。その上に、アスカさんを乗せる。
抱き上げて、ご対面ーっとして、そのまま仰向けに膝そ立てた足の上に載せる。

 足をばたばたするので、なかなか仰向けになってくれない。
この状態で仰向けになると、頭が遠くへ、そして足が手前になる。

 足をバタつかせるが、それをなびかせつつ、膝の上に仰向けに載せる。

 なかなか、落ち着く姿勢であるとおもうのだけれど。
アスカさんはなんだかばたばたしている。


 オオー!

これはー!!

 腹筋の前に、またもおもしろいものを発見した。
それは、手の形である。
仰向けになった姿勢をみれば、手を揃えてなびかせて下に向けている。

 それが、

「お化けだぞー。」

 って、やってるみたいな形をしているのである。

「お化けだぞー」

 おおー、これは久方ぶりにおもしろいことに気づいてしまった。
腹筋に入る前に、このお化けの手をちょっとかまってみたくなる。

 それで、また、以前にも話したけれど、アスカさんが乗りがいいのである。

 コロコロコロっとすると、アスカさんは、お化けの手ーをクルクルクルっと忙しく動かすのである。

 そうそう、こう来なくっちゃね。
アスカさん、乗りがいいねー。

 この腹筋の練習は、基本的に抱っこ姿勢である。
だから、はじめのうちは、けっこう歓迎されて、やってくれるのである。
それに、ここは定員一名である。一人ずつしか、腹筋の練習は出来ないのである。

 お化けの手ー、の方で、遊んでしまった。

 さてと腹筋。