「 ミニダックスの腹筋 そのニ 」




 アスカさんも夏の暑さでやられて、ひと時痩せてしまった。ちょっとみると、ソーラさんと区別がつかなくらいに痩せてしまったのである。

 しかし、10月の後半ともなれば、まただいぶ食べられるようになって、少しもどって来た。お腹も以前のようにふくよかになりつつある。やっぱり、こうこなくっちゃねー。

 一見、このお腹は単なる贅肉のように見えるかもしれないが、ところが、なかなかしなやかで、すばらしい筋肉なのであった。

 それは、あたかも、相撲取りのお腹のようであると考えてもらえばまちがいないだろう。
相撲取りは、あの巨体をして100メートルを11秒代、12秒代で駆け抜ける俊足の持ち主なのである。相撲取りは、ほんとにすべてが筋肉のかたまりなんだよね。
 それと同じ。
アスカさんもうそうなのだ。

 ミニダックスは胴が長い。
そして、その腹筋の力を今まさに見てみるのである。

 抱き上げて、そのまま仰向けにして、そしてわたしは壁によりかかり膝を立てて、そこにアスカさんを乗せてみた。
 すると、足をちょとわたしのお腹のとこに引っ掛けて、ぐぐっと起き上がってきた。
一瞬あぐらをかいて座っているように見える瞬間がある。おもしろい。

 やはり思ったとおり、すばらしい腹筋力であった。

 アスカさんはググググッと垂直に起き上がってきた。
そして一瞬、何の支えもなくあぐらをかいたような姿勢になって、ふわっと座るのである。

 おおー、いいねー

 何回見てもあきないねー。

 アスカの動きは美しくあきがこない。

「いいねー。アスカさん、もう一回だけちょっとやってみてー。」

 10回くらいやってもらった。

 さすがの、アスカさんも、

「もう、カンベンしてー。この遊びってけっこうきついんじゃないの」

なんていってるみたい。

 わたくしアスカは、けっこう頑張ってマース。
みたいに顔に書いてある。

 わたしは名残惜しそうにアスカさんを手放す。

そして、アスカさんは、わたしの膝の上から降りていった。


 楽しそうに、わたしとアスカさんが腹筋の練習をしていると、観葉植物の台の下からいつしかソーラさんが出てきて、近くに来ている。

 楽しそうに遊んでいるので、混ぜてくれというのだろう。

 しめしめ、しめたとわたしは思う。

 何もしらないソーラさんを、軽々とつかまえて、よく言い含めて膝の上に載せる。
アスカさんよりも、ソーラさんは、ちょっと過敏というか警戒心が強いのである。からだを硬くしてしまって、足で突っ張るものだから、なかなか仰向けに膝の上に乗ってくれない。

 足払いをするように何とか、膝の上に寝かせつけた。

 おおーっ、これは!

 やはりソーラさんも、アスカさんと同じように、お化けの手ーになっている。

 それで、お化けの手ーをちょっとコロコロっとかまって見るが、
ソーラさんは、乗りが悪いのである。

 なんで、この時期にこんなことしなくちゃなんないのー。
ちょとおー。わたしは、忙しいのよ……。

といった感じだ。

 そして、やはり同じようにわたしのお腹の所に足を軽く引っ掛けて、
腹筋を使って、ぐぐぐぐぐっと、スムーズに起き上がって来たのである。
そして途中で、ふわりと、あぐらをかいて座っているような状態に一瞬なりる。
ゆるやかなスピードで動いてているので、座っているように見えるのはほんの一瞬だ。

 おっと、こりゃ、ご主人わるふざけだなー。

 っとソーラさんは思ったことだろう。

 大切な、研究であり、エクササイズなのにねー。
ソーラさんにはそれがわからないのだろう。ざーんねん。

 ちょっとやっだけでソーラさんは。
こりゃかなわない、と膝の上から降りて行ってしまった。


 そう、わたしの見抜いたとおり、ミニダックスの腹筋力は
確かに本物だった。すごいですよ。

 あやしくおもってませんかー?

 みせてあげたいなー。ミニダックスの腹筋。


 このテーマは、こんなもんで、もうこれでおしまい。(^^;)


          (おしまい)

                      (2003.1.5)