「 わたあめふわふわ その二 」

  


   
 タイヤキ、たこ焼き、大判焼き、ずらりと居並ぶお祭りお菓子の中で、
わたあめに匹敵するものは一つもない。
チョコバナナもとうてい足元にも及ばないのである。

 それに、材料はシンプルにザレメ砂糖のみである。
色をつけるために食紅など使うと綺麗である。

 ザラメ砂糖を使ったお菓子にカルメ焼きというのがある。
これは、特殊技術を要するようである。
 つくるのが難しいのである。そしてつくっても形を崩さずにお客さんに届けるのも大変。
すぐにポロリと割れてしまいそう。
 それに見た感じ、おまんじゅうのように美味しそうだが。実は硬い砂糖の塊である。

 その点わたあめはすばらしい。
わたあめのすばらしさを述べるときりがない。

 見た目はもうふわっと雪のよう。雲のよう。味はマイルドな砂糖味。
砂糖本来のシンプルな美味しさ。砂糖を熱してつくってあるので、砂糖そのものとはちがった香ばしい味に変身するのである。
 そして、少量の砂糖で作れる。味も砂糖だけなのにさっぱりとしている。
大きい割りにヘルシーである。砂糖の摂取量は少なくても十二分な満足感を得ることが出来る。

 わたあめは、保存がきかない。そのとき、その場で食べないといけない。
その意味で、めったに食べることが出来ない食べ物だ。
その瞬間でのみ味わうことが出来るお菓子。
という意味では貴重なお菓子である。
そうー、そのお祭り、出会った人、その瞬間瞬間を楽しむお菓子なのである。

 その瞬間には、いろいろな思い出もあるだろう。
たのしいお祭りの日にしか食べることが出来ないわたあめ。
こどもの頃は誰とわたあめ食べたかな?。浴衣で花火を見に行ってわたあめ食べたかな?