「ど近眼のマッキーさん 会議」



 きょうは、なんだかの会議がある。
人が、たくさん集まっている。
こういうのは、苦手だなー。

 みんなは、知り合いのミニダックスをみつけては、楽しそうに

「いやー、お久しぶり」

などと話している。

 マッキーさんは、ぽつりと、ひとり座っている。
まあ、いつものことである。

何か、緊張するなー。

 まあ、そういっていても、はじまらないし。
キョロキョロとあたりを見回す。

 あれは、あこがれのソーラさんかな?もしかして…。
でも、確信はない。

「あのー」

「はっ、?」

「いやっ、へへ、あっ、きょうは、いい天気ですねー」

犬違いだった。

まあ、じたばたしても、しょうがない。
さみしく、こうしていよう。マッキーさんは、あきらめる。

 「あら、マッキーさん、来てたのねー」
なんだ、べてらんアスカさん、来てたのか。知り合いがいたので、ちょっとホッとするなー。
でも、ソーラさんじゃないので、ちょっと不満だなー。
贅沢は言っていられない。

 きっとソーラさんも来てるんだろうけれどなー。


 職場の、ある飲み会に話を移す。

 マッキーさんは、すこし遅れてやってきた。
ずらりーっと大勢のミニダックスたちが和やかにお酒を飲みながらおしゃべりをしている。

 どこに、座ればいいんだろーなー。

 べてらんアスカさんでも、いればいいがー。
あこがれのソーラさんの隣はちょっとヤバイな。
でも、なにげに近くに座れたらいいけど。
まあ、どこでもいいんだけれど。あまり、浮いちゃうのもしんどいなー。

 キョロキョロとしてみる。

 おお、とりあえず、あそこに、席があいてるぞ。
マッキーさんは席に近づく。

 ここは!ドキッ!

 近づいてみると、そこは、
専務取締役さんと人事部長さんのあいだだった。

 いまさら、遠のいてゆくのも、ちょっとおかしかろう。

「うーん、ちょっとなー」

 でも、マッキーさんはあわてているわけにはゆかない。
瞬時に、覚悟を決めなければならない。
このようなことは、よくあることなので、「へ」とも思わないー。(^^;)

 それから、一時間以上、緊張しつつも、タノシく、人事部長さんと世間話などを交わすのであった。

 それにしても、あっちのほうでデカイ声を張り上げて、
のん気に楽しそうに話しているのは、べてらんアスカさんじゃないのか!
 向こうのほうで、カッコいいミニダックスと楽しそうに話しているのは、よくは分からないけれど、あこがらのソーラさんはじゃないんだろうか?


 ある職場の旅行でのことに話が移る。

 温泉に入った。湯けむりのなかに、ほのかな白い影。とかいいなー。
まあ、そんなこともなく広々とした、男湯で人気も無いので、ちょっと犬かきの練習をしてみる。

「おおー、気持いいなー」

 それにしても、みんなはどこいったろー?

 あっと、露天風呂の方で人影だ。
ちょっと行ってみよう。どうせ、露天風呂も入ってみたいし。

 ザブリ。

「ふー、こんばんわ」

 話し声が、ピタリとやんだ。

 3メートルほどの円形の露天風呂である。
はだか同士で、間近な距離である。

湯けむりのなかにうかぶのは?

 おお。

 それは、専務取締役さんと人事部長さんであった。

「うーん、ちょっとなー」

 でも、マッキーさんはあわてているわけにはゆかない。
瞬時に、覚悟を決めなければならない。
このようなことは、よくあることなので、「へ」とも思わないー。(^^;)

 「あっ、どうも(^_^)」

 しかし、どうも、沈黙がつづく。

 「いやー、いいお湯ですね。それでは」

 さすがの、マッキーさんも、手ぬぐいで前を隠しつつ
早々に、露天風呂を退却するのであった。(^ ^;)

 それにしても、みんなはどこ行ったろー。
どっかで飲んでるのかなー。

 マッキーさんの人生は、波乱に満ちているのである。

 あれっ、壁一枚隔てた、女湯のほうから、どこかで聞いたような声がする。
あの大きな声は、どうもべてらんアスカのようだ。こちらまでガハハと笑う声が響いてくる。
 それに小さな声で受け応えしているのは、どうもソーラさんのようである。

 そんな声をちょっと気にしながら、のんびりと湯につかるマッキーさんだった。
   

      (おしまい)

     どうもバレバレ