このWormLoveloveNo.1に感染すると、結構厄介なことになるのである。
ある日、アスカさんはいつものように、ベランダで、ソーラさんと一緒にのへーとしていた。最近は、曇り空や雨の日も多い。しかし、日差しは夏の太陽のギンギンとした強さを増しているので、返って曇っていた方が涼しくてありがたいのである。
いつも、こうしてのん気に寝そべりながら、ときどき、近所の犬とワンと声を出してあいさつをしたり、テレパシーを使って鳥と話したり、ご主人たちの今日の運勢を予知したりしているのである。のん気そうに見えてもけっこう忙しいのである。
すると、どこからともなく、テレパシーが送信されてくる。
そのテレパシーはささやく。
「あのー、すいません。
ちょっと話したいことがあるので、どうか聞いてください」
アスカさんは、テレパシーが誰からかな?
と考える。聞き覚えのある声である。
「この声は、確か、ご主人さんのおばさんの所にいるリュイさんかヤンヤンさんのような」
それでアスカさんは、ちょっと興味を覚えるのである。
(あら、何か御用かしら?)
アスカさんは、ソーラさんとヤンヤンさんのお見合いの付き添いをしたことがあるのである。そのときヤンヤンさんにあっている。
ヤンヤンさんは、毛の短いつるりとした容貌のミニダックスだ。
胴も見事に長くて、足は短い。体はミニダックスにしては、大きくてどうどうとしている。鼻先も平ぺったくてアヒルのようだ。これぞミニダックスの典型的姿である。色はブラックである。このユーモラスな容姿が強調されるほどミニダックスとしての価値は高まるのである。
わー三枚目。すばらし。
しかも、ヤンヤンさんはヤンキーでいつも元気いっぱいなのである。
「ヘイ、彼女、オレとお茶しない?」とソーラさんへ。
もう一人のリュイさんは、アスカおばさんの兄弟である。
容貌もソーラさんやアスカさんに似ている。毛も巻き毛でふさふさと長いのである。
今日はヤンヤンさんの付き添いである。
そのときのお見合いは、あっという間に終了した。
ヤンヤンさんは喜びまくって
「ヘイヘイ、ヘイヘイ、ソーラさん、オレとお茶しようってばサー」
ととびはね、シッポを振りませして、ソーラさんを追いまわすのである。
そして、逃げ惑うソーラさん。
ヤンヤンさん、もう少しデリカシーが…。
このお見合いは残念ながらうまくは行かなかったのだ。
そんな訳で、ある日突然、アスカさんのところへ、そのヤンヤンさんらしき声で、テレパシーが届いたのである。
(つづく)
その三