「アスカさんついにやっちゃたの!? その三」



 だが、まてよ。

わたしは思う。
ほんとうにアスカさんが、ソーラさんのお尻の毛をむしって、
こんなに大きなハゲを果たして作れるものだろうか?

 こんなに大きなハゲをつくるとすると、
相当丹念に、毛をむしりとらなくてはならない。

 アスカさんがソーラさんの毛を一掴みくわえてむしりとる。
そのたびソーラさん

「あれー、やめてー」
と叫びながら逃げ惑う。

また、くわえてムシリっと。
あれやめてー。

 よく考えたら、ばかばかしくなってきた。

 よくみれば、丸い形にきれいにカットされているのである。
ソーラさんのお尻の皮膚に、噛んだ傷あとなどは、何一つないのである。

 (こりゃ、きっと、アスカさんじゃないなー。なんか事情があるな)

 すぐに電話で団地へ事情を確認する。

 すると
なんだ、獣医さんで湿疹の治療をしてもらったのである。

 そういえば、前の晩、夜中に何回かソーラさんがないたのである。
湿疹がかぶれて痛かったのだろう。
 
 はずかしながら、そのときも、わたしは、
アスカさんがソーラさんをいじめているのではないか
とちょっと思っていたのである。

 そういえば、最近、ソーラさんは細長い鼻先でこのあたりを、
よくホジホジとして痒がっていたのだ。

 思い込んじゃいけないなー。どこかで何かをきめつけてるなー。
はずかしくなる。大変にまずいことである。

 湿疹が出来るなんて。
ここのところ散歩をさぼりがちなので、彼女たちにストレスがたまっているのかも。
 こうなる責任の一端は、アスカさんどころか、わたし自身にあったのだ。
それは棚に上げて、アスカさんを疑ったりしているのである。

 「あっ、アスカ、わるいね。ははは。
そうだよな、お前がそんなことするハズないもんなー。
ははははー、いやいやい…(^ ^;)」

 (いま、完全に、アタシのこと疑ってなかった?
頭もポカリとか叩かなかった?
ねえねえ、どうしてくれるのよ。どうしてク・レ・ル・ノ・よ)

 ほんの一瞬ではあったが、わたしは、完全にアスカさんを疑っていたのである。
ほんとに、アスカさんには、申し訳ないかぎりであった。

              (おしまい)

                     (2002年6月中旬)


               ( 「kaerimiti」 midi by kogarashi )

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