だが、まてよ。
わたしは思う。
ほんとうにアスカさんが、ソーラさんのお尻の毛をむしって、
こんなに大きなハゲを果たして作れるものだろうか?
こんなに大きなハゲをつくるとすると、
相当丹念に、毛をむしりとらなくてはならない。
アスカさんがソーラさんの毛を一掴みくわえてむしりとる。
そのたびソーラさん
「あれー、やめてー」
と叫びながら逃げ惑う。
また、くわえてムシリっと。
あれやめてー。
よく考えたら、ばかばかしくなってきた。
よくみれば、丸い形にきれいにカットされているのである。
ソーラさんのお尻の皮膚に、噛んだ傷あとなどは、何一つないのである。
(こりゃ、きっと、アスカさんじゃないなー。なんか事情があるな)
すぐに電話で団地へ事情を確認する。
すると
なんだ、獣医さんで湿疹の治療をしてもらったのである。
そういえば、前の晩、夜中に何回かソーラさんがないたのである。
湿疹がかぶれて痛かったのだろう。
はずかしながら、そのときも、わたしは、
アスカさんがソーラさんをいじめているのではないか
とちょっと思っていたのである。
そういえば、最近、ソーラさんは細長い鼻先でこのあたりを、
よくホジホジとして痒がっていたのだ。
思い込んじゃいけないなー。どこかで何かをきめつけてるなー。
はずかしくなる。大変にまずいことである。
湿疹が出来るなんて。
ここのところ散歩をさぼりがちなので、彼女たちにストレスがたまっているのかも。
こうなる責任の一端は、アスカさんどころか、わたし自身にあったのだ。
それは棚に上げて、アスカさんを疑ったりしているのである。
「あっ、アスカ、わるいね。ははは。
そうだよな、お前がそんなことするハズないもんなー。
ははははー、いやいやい…(^ ^;)」
(いま、完全に、アタシのこと疑ってなかった?
頭もポカリとか叩かなかった?
ねえねえ、どうしてくれるのよ。どうしてク・レ・ル・ノ・よ)
ほんの一瞬ではあったが、わたしは、完全にアスカさんを疑っていたのである。
ほんとに、アスカさんには、申し訳ないかぎりであった。
(おしまい)
(2002年6月中旬)
( 「kaerimiti」 midi by kogarashi )
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