「WormLoveloveNo.1」



 最近、ミニダックスの世界に厄介なヴィールスが蔓延している
これは破壊活動は行わないLovelove no.7とメモリーファイルすなわち思い出を書き換える破壊活動を行うWormLoveloveNo.1があるらしい。

 ミニダックスはテレパシーが使える。
WormLoveloveNo.1はその通信機能を媒体として感染するのである。
 ある日不思議なテレパシーが送られてくる。それは知り合いを装っていたりして、そこそこに興味を引くのである。つい受け入れてしまうと感染する。
 そしてそのミニダックスが気づかずにテレパシー能力を発動させると、そのミニダックスの頭の中にある知り合いのところへ、WormLoveloveNo.1を乗せたテレパシーが送信されるのである。
 それは本人からだったり、または、そのミニダックスの頭のなかにある知り合いの顔や声やイメージを装って送信されるのである。
 だからソーラさんからテレパシーが届いたとしても、それは実はアスカさんの頭の中にあるうそうそソーラさんなのかも知れないのである。
 よって、実際のところ誰がWormLoveloveNo.1にかかっているのかわけが分らなくなるのだ。
 そしてWormLoveloveNo.1はメモリーファイルを書き換えるのである。
思い出の中の登場人物を書き換えたり、結果を書き換えたりするのである。


 ミニダックスがテレパシーを使えることについて。
これは事実である。例をあげれば枚挙にいとまがないのであるけれど。
 たとえば、わたしがウチに帰り着くと、道を歩いているところですでにわたしの帰りを予知できるらしく、ベランダでワンワンとないていたりする。
 それはどうもバスを降りた瞬間からでもわかるとのことだ。
おやじさんによれば、ソーラさんとアスカさんが騒ぎ出したのでなんだろうと思っていると、しばらくしてわたしが帰ってくるとのことだある。

 またもう一例あげれば、食事をあげるとき、アスカさんは、
わたしが、「伏せ」といっているのにもかかわらず、
「くるんと回れ」をしたりする。
 これはわたしが心の中で、実は

「アスカくるんと回れだよ」

とささやいているからなのである。

 このように、ミニダックスはテレパシーが使えるのである。
それは、はたまた、人より優れた嗅覚、聴覚、その他ミニダックスの感や、ささやかに生えているひげなどの総合的作用によるのかは定かでない。
  
               (つづく)

     その二