「 一緒に遊ぼ そのニ」

            


 考えてみれば、このようなアングルで犬の顔をしげしげと眺め回すことも少ないように思う。だいたい中型犬や大型犬では、犬の顔を間近に見ようと思えば、自分の方がしゃがみ込んで座っている犬の目線の高さに自らかあわせなければならない。自分からしゃがみ込んでゆくのはけっこう面倒だし疲れる。

 あるいは、犬がじゃれ付いて立って来てくれれば、しゃがまなくてもいいかも知れない。でも大型犬にじゃれ付かれるのは大変そうだ。洋服も汚れそう。

 中型犬なら、頑張れば、抱き上げることが出来るかも知れない。しかし、中型犬は抱かれることに大体が慣れていないので、きっと落ち着かずにすぐに飛び降りてしまうだろう。

 という訳で、小型犬だけが、こうして抱き上げられてご対面して鼻先を間近に、しげしげとその顔を眺めることが出来るのである。

 両脇の下、(前足の付け根)を両手で支えて持ち上げる。よって足(後ろ足)の方は、空中にぶらりと下がった状態である。

 まあ、下から支えてあげれば安定するのだろうが、結構このままの状態で、顔をつき合わせていることもある。そのとき、ソーラさんは体を固くしてくれるのに、アスカさんは体の力をぬいているのでふにゃふにゃしていて支えにくくて仕方ない。

 アスカさんには、もう少し、脇の下に力を入れて人任せにしないで自分で支えてほしいのに。アスカさんちゃんと自分で力入れてくれ。

 わたしは、抱っこはあまりしない。けれど、ときどき彼女たちと遊ぶ。猫かわいがりにするのとはちがう。いろいろユニークな遊びを考える。犬可愛がりにするのである。乗ってくれるのはアスカだけだ。ソーラさんは、さっと警戒態勢に入って部屋の隅に遠ざかってしまった。

                             ( つづく )

     その三