「 まさか、ひとりで食べちゃうんじゃないよね そのニ 」



 彼女たちは犬である。ところが、果物も、野菜もよく食べるのである。白菜の煮たのなんか好きだし、キャベツもなまのまま食べる。りんごもさくさく食べる。みかんは薄皮をむいて実だけにするとよく食べる。何と言っても甘いからね。

 薄皮をむいてあげて、何回か食べて味を覚えるとそのうち、薄皮がついていてもよろこんで食べるようになった。にんじんもゆがいたのなど、喜んで食べる。大根は、生のままでも、平気で食べる。

 ご飯も好きだ。ケーキやパンも大好き。お菓子、チョコレート、あんこ大好きである。納豆も喜んでたべた。

 冬場は、サツマイモが安く売っているので、買ってきて蒸かして冷蔵庫へ入れて置くと、乾燥してほしイモのようになる。これを取り出してきて、ことあるごとに、スライス切りにしておやつにあげる。少しずつあげた方が、ありがたみがあるようだ。

 そして、バークーヘンは薄く切れば切るほど、おいしいと言うが、乾燥蒸かしイモも薄く切れば切るほど、ありがたみが出て、おいしくなるように思う。どうでしょうか?

 このサツマイモの蒸かしスライスはまことに評判がよい。とてつもなく喜んで、ペロリと食べる。焼いもは女の子に人気があると言う。もちろん誰が食べてもおいしい。このナチュラルなくどくない甘味があきがこないのだろうか。おイモは、甘いものに対してはよりグルメな女の子たちに支持されている。ソーラさんとアスカさんもこのよさが、すごぶる、そしてことさらによく理解出来るのかも知れない。

 ワン太郎さんの話をちらりとしたが、病気になって、何も食べれなくなった最後のとき、むっくりと起き上がりヨロヨロ歩いて来て、わたしの差し出すサツマイモの蒸かしたのを、しゃにむに食べたのである。これで元気になったのかと思ったが。残念ながら違っていた。これが最後に食べたものとなった。

 プリン、生クリーム、ゼリー、何でもすきだが、彼女たちは、サツマイモが、特に大好きなのである。
        
                    ( つづく ) 

     その三