「 まさか、ひとりで食べちゃうんじゃないよね その三 」



 彼女たちは、夜になると、家の中のゲージの中にねる。おふくろさんが、夕方きて、ひとしきり遊んであげると、食事をもらって、今度は、ベランダへは出さずに、家の中に入るのだ。そのゲージの上に、カーテンのような布をかけて、彼女たちはおやすみの時間である。

 わたしが、帰り着くのは、8時過ぎだ。それから、ビールを飲んだり、タバコをふかしたり、コンビニのお弁当や時には自炊して、夕食となる。そしてデザートなどもいただくのである。

 部屋は、広いわけではない。台所の隅に、彼女たちの部屋(ゲージ)が置いてある。台所は10畳ほどの部屋で、そこで、彼女たちと一緒にいるわけだが、その中で、わたしがまさに今食事をとろうというわけである。彼女たちがおとなしくお休みに入っているわけがない。

 犬の前で、食事をするのは酷なことであるという。だからその間、ベランダへ出ててもらうことにしている。おしっこも我慢しているらしく、すんなりと喜んでベランダへと出て行く。しめしめとわたしは食事に入る。


 それでも、その様子に気付くようで、食事をしていると、ベランダから、ガラス越しに、こちらの様子を見ている。ベランダへは15センチほどの敷居をまたぐが、その敷居に前足をかけてこちらの様子をしきりに伺っている。なんだか、わたしひとりおいしいものを食べていては申し訳ない気持ちになる。

                  ( つづく )


      その四