「あれっ、アスカさんひとりなの? そのニ」




 そういえば、さっきおやじさんが、

「おーい、いるのかー」

とか呼んでいた気がする。寝てたからなー。

 そろそろ起きなければ、いくらなんでも昼寝だから。ジョギングでちょっと疲れたのもあるかー。
それに、ツクツクツクという音のことも気になる。

 起きてみると、アスカさんが一人さびしく、台所の中をウロウロしていた。いつもわたしが座るイスのすぐ横にオシッコもしてある。アスカさんは、なんだか、バツがわるそうである。へへへって感じで。

 あれっ、アスカさんひとりなのー。ソーラさんはどこに、いったんだろう。
普通は、ふたりでセットのはず。

 台所の部屋の中を、見回す。
 ソーラ、ソーラと呼びながら、観葉植物の台の下やゲージのかげ、テーブルの下、ロッキングチェアーの後ろ(そんなシャレたもなが一応あった)、探してもいない。
 
 「宝探し」のエッセイみたいだなー。あれっと、まだ、アップしてないかな。
どこへ行ったんだろう。階段の方も、風呂場の方までのぞいた。
いない。まさか、階段から落ちでもしないだろうなー。ちょっと心配にもなる。

 まさか、ソーラさんだけ、下にいることもあまりない訳だが……。

 下へ行ってみると、ソーラさんだけがおふくろさんに抱かれていた。おふくらさんは、熱心にフリーセルをやっているのである。いつもはソーラさんとアスカさんのふたりを抱えている訳だが、今日は、ソーラさんだけ。フリーセルにはまっている。
 
 アスカさんはおやじさんと遊んでいたとのことで、おやじさんが一歩先に帰るのでアスカさんだけが二階に戻されたようだ。

 アスカさんだけが一人になるのも、珍しいなーっと思う。
アスカさんだけだと、歩く足音もこんなにささやかなのである。いつもは、ふたりだから足音が騒々しいのか、ソーラの足音がデカイのか。

 一人で、台所の中をウロウロしているアスカさんは、なんだかやりにくそうで、ちょっと途方にくれているようであった。

 ソーラさんが下にいるのも分かったので、わたしは、目覚めのコヒーをゆっくりと飲むのである。

 アスカさんはその間、どうも落ち着かないらしく、ウロウロしていたが、結局ゲージのなかへ入っていった。それで、それならば、とわたしは留め金を止めてあげたが、それでも落ち着かないようで、コヒーを飲んでいるわたしに、ワンワンと何か言っている。

 考えてみると、だいたい、いつも注文をつけてくるのはソーラさんである。
アスカさんがなにやら、物申すことは少ない。
 こうして、アスカさんとふたりきりになるのも珍しく
アスカさんが、何やら落ち着かずにワンワン言っているのもあまりない設定の感じである。
いつも分別のある、遠慮深い?のアスカさんなのだ。

 ソーラさんが抜けるとちょっと、お互いに間がもたない感じがする。なんだか変なもんだねー。アスカさん。

 アスカさんは、一生懸命に何か言っている。
困ってるぞー。なんだかそんな様子を見ていたらちょっと愉快になってきたのである。


 このエッセイは、ほとんどリアルタイム。


    (おしまい)

               (2003.1.4)