「 虫の声 その一」
( 秋のお散歩 )




 この前まで暑かったのに、夜はだいぶ涼しくなってきた。
気が付く虫の声が聞こえる。大合唱である。
こんなに鳴いてるんだ。すごいなー。


9月 2日(月)

 今、公園の方へ彼女たちとお散歩へ行って来た。
9時過ぎのこと。外は、少し涼しくて気持ちがよかった。公園に入って気づいたのだけれど、虫の声がする。もう虫の声が聞こえる季節に入ってきたのだなーと思った。

 帰り道、中学校のフェンスに沿って歩いていても、やはり虫の音が聞こえていた。
くるときは、気づかなかったのに。きっと行き道でも聞こえていたのだろう。 昨日は散歩へ出かけたが、公園の方には来なかったからなー。

 でも、昼間は昼間でセミの声が聞こえる。
夏の終わりを惜しむように、または、締め切りがせまっているかのようにラストスパートでないているのだろう。
 この時期のセミは簡単に捕まえることができる。動きも鈍いみたい。ぱたりと道におちてくるのもある。セミのなきがらは、三組六本の手を合掌して

「頑張ったでヤンス。おだぶつでござんすよー。」

という形をしている。
おう、よう頑張ったのー、とセミをほめてあげたいと思ったりする。

 ベランダの方が涼しいらしく、ソーラさんとアスカさんはワンともほえずにおとなしくベランダで寝そべっているみたい。
 外の涼しさに比べると、部屋の中は蒸し暑い。


9月3日(火)
 今日も、ウチへ帰り着くやいなや、まず彼女たちのお散歩へ出かけた。えらいもんだねー。
 虫の声は昨日よりも一段と大きくなったように思う。中学校のフェンス内に植わっている柳も、夏の間に、こんなにふさふさと枝を伸ばしている。
 虫の声は秋も深まった頃かと思っていたが、実はもう夏の終わりの早い時期から始まっているものなのかもしれない。秋の静けさがましてはじめて気づくものだろうか?

 そういえば話はすれるけれど、6月頃、中学校のプールのところからカエルの声が聞こえていた。
 少し早いなと思ったことを覚えている。きっとプールの中にカエルがいたのだろうと思う。水って入ってるのかな?そのころプールに。どうだろ。
 わたしたちがプールの脇にさしかかるとなきごえがピタリと止んだからおもしろい。

 早いもので、そういえばもう9月に入っているのである。日めくりのカレンダーを使っている。ずいぶん残りが薄くなってきた。めくりずらくなる。


9月 4日(水)

 今日は、ジョギングをした。今日は、昨日に比べて蒸し暑かった。虫の声もやや小さい感じ。

 職場でのこと。
 昼タバコを吸いに行ったら、一緒にいた人が、

「クツワムシ知ってる?」

と聞いて来た。

 知っている、ガチャガチャガチャガチャクツワムシと歌にもある。
実際、ないているところを聞いたこともある。

 「じゃあ、自然が残っていたんだね。」

 クツワムシなんて当たり前だよなーと思っていたけれど……。

 「最近は、いないんだよ。」 

 「えっ、そうなの。」

 「都会ではもうずいぶん前から……。
田舎にだってもうめったにいないよ。」
 
 「そうなのかなー。」

 そういえば、昨日、散歩のときもクツワムシのガチャガチャという鳴き声が聞こえなかった。
今日も注意しつつ聴いてみたけれど、その声は聞こえなかった。
 クツワムシいつの間にいなくなったんだろ。
そうだったのかな。

 わたしは子供の頃は九州にいたから自然は豊かだった。
クツワムシって絶滅の危機にあるのかなー。

 昼休み会話を思い出した。

 ソーラさんとアスカさんは今ベランダにいる。今ちょっとないたようだ。
今日は蒸し暑いからそろそろ冷房入れてくれーっ、部屋に入れてくれー、と言っているのかも知れない。
 昨日は涼しかったので、一晩中ベランダで過ごしたけれど。


9月18日(水)

 今日は連休も明けて、忙しかった。ちょっと変わったことは、職場のお隣のお年寄りの集う部屋からテナーサックスが響いてきたことだ。
 これは、なかなか楽しいことだった。
ちょっと得した気がした。

 ウチに帰り、昼間のサックスの音を楽しく思い出しつつ、ちょっとsswをいじってみる。

 ソーラさんとアスカさんは涼しくなり調子がよさそうだ。
ソーラさんをベランダに出すとき、ちょっと抱き上げたら、口の端が心なしか二マッっとあがっていた。鼻は黒々とピカピカと光っていた。ご機嫌である。
 いわしせんべいをおすそ分けして、ビールを飲みつつ食べた。

 秋の夜長というが、早く寝ないといけない。
でも、夜更かしをしてみたくなる。それでちょっとつくってしまった。

 テナーサックスの虫の声。