「 ふたりのお仕事 その二」
ずいぶん前にNHKスペシャルかなにかの「四大文明」を見ていたら、エジプト文明のことををやっていて、ピラミッドがどうして出来たのかということをやっていた。
偉大なる王の墓。大きな石を多くの人たちがヨイショ、ヨイショと引いて、怠けると、鞭でビシッとうたれ、うー。
と思っていた。
そのテレビの中の話では、まったく別の説であった。
しかもその説はもうずいぶん前に研究家によって示されていた。
ピラミッド公共事業説である。
これは、わたしのもっていたイメージとは違っていた。
雨季にはいるとナイル川が氾濫して、これによって肥沃な土地になるわけだけれど、農作業が出来なくなる。
それで、仕事がなくなるので、暇つぶしにみんなでピラミッドを作った、と言うのである。
それに、あの大きな石も増水した川を筏に乗せてサクサクと運べたとか。
政府は、ビールとパンを人々にその報酬として与えた。
家族そろって、みんなでピラミッドをつくりに来たのだそうだ。
ほんとかなー。とするとやけにたのしそうだ。
ひとには、仕事が必要なものらしい。
職場に着くと、入れ替わりに、夜勤明けの職員が疲れているけれど、晴れ晴れとした顔で帰ってゆくのである。お疲れさん。
天気もいいし、ひと寝入りして、お休みだー。
やけにホットした感じ。ちょっと、うらやましい。
わたしは、これからお仕事。
仕事は大切ではあるけれど、終わるとうれしいし、休みの日はやっぱりもっとうれしいのである。
日本人は、働きすぎるらしい。
それで、過労死にまでなる。仕事中毒だって。
アルコール中毒も恐いけれど、仕事中毒も恐い。
あんまり仕事しすぎるのも、いけない事なんだよね。
几帳面でまじめな人ほど気をつけないと。休んで、遊んでと。
そうはいっても、なかなか自分でどうこうなるということではないんだけれど…。
そういえば、週休二日になって、何となく、過労死事件、聞かなくなってきた。
でも、最近不景気で、またそんな話も出てきてるみたい。
かたや仕事がない。かたや残業しすぎて過労死。
もっとバランス取れればいいのにね。これも、自分ではどうにもならないけれど、単純に考えてそう思う。
ソーラさんとアスカさんに職業選択の自由があれば、
ホントは、厄介なご主人の散歩係ではなくて、
その日くらしのノラいぬというのもありかも。
生活は不安定だけれど、旅から旅の食うや食わずのさすらいのたびである。
そのうち、保険所とかに通報されて……。
逃亡生活へと。やっぱ大変か。
わたいは、のへーと昼ねがうらやましいというけれど、
彼女たちふたりは、ほんとはもっと自由に野山を駆け回りたいと思っているかもしれない。
のへーっとしていてくれることが、
実にわたしには、うれしいのである。
彼女たち、ふたりが忙しそうにしていたら
いったいどうしようと思うのである。なんか救いがない。
(おしまい)
(2002年6月下旬)
(「haru no yuugure」 midi by kogarashi)
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