「 ふたりのお仕事 」

                   


 今日は土曜日だなー。
でも、わたしはお仕事へ出かけるのである。
バスに乗る。電車に乗る。
いつもより、やけに、スキスキである。
何か自分だけ働いているような気がする。

 電車に人が乗っていないということは、
乗っていない人たちは、お仕事へ行っていないということだろう。
 ウチでのんびりとしているんだろうなー。

いいなー。いいなー。

 土曜日ともなれば、わたしの心も身体も、かなり出来上がってきているのである。(毎週じゃない、隔週)

 乗換駅片隅の喫煙所で、タバコをふかして、
ここもいつもの賑わいを見せていない。

 そして、コーヒーも飲んでと。
天気もいいし。
何か仕事へ行く気がだんだん薄れてくるのである。

 このまま、気になる本の続きでも読みながら、
電車に乗ったまま、ちょっと先の方までゆられて行きたいなー、
とちょっと考える。

 でも、コーヒーを飲み終わる頃には、
そうそう、早く仕事を終わらせて、午後から少し街でもぶらついてやろう。もう少しと思うのである。

 やっつけ仕事でゆこう。
こういう日は、あまり、凝った事も考えなくてよいから
ただただ無難に仕事の終わることだけ考えて、
とっとと片付けてしまうのが返ってよいのである。

 仕事は、わたしの場合、毎日バランスよく集中力を保つことが
実に重要なのである。

 それにしても、わたしがお仕事へ出かけている間、
ソーラさんとアスカさんは、どうしているのだろう。
きっと日のあたるベランダで、のへーと日向ぼっこをしながら、
鳥の声を聞きながら、昼ねしているんだろうな。

 のへーとペターと昼ね。
そうそう、いぬは、けっこうよくひるねしている。
いいなー。
 夕方には、おやじさんやおふくろさんが来るのであそんでもらう。
そして8時ごろにはわたしのお迎えをして、
ご主人を運動不足から守るために、お散歩へ連れて行ってあげるのである。

 これはけっこう重要な彼女たちのお仕事である。
そして、社会的にも充分に価値のあることなのである。

 最近は、いろいろなお仕事がある。
会社へ行く人、お家で家事や子育てをするおかあさん、しょうばいをする人、
 勉強をして社会経験や交流を深める(遊びまくっている)学生さん。
スポーツ選手。

 すきなことも、嫌いなことも、お仕事であれば、いろいろやらないとならない。
約束もまもらないとならない。
大変なこともあるけれど、
お仕事をしていると、いろいろな人に出会うことが出来る。
楽しいこともけっこうある。

 お金ももらえるのである。
ここが肝心なのである。お金がないと大変に困ることになる。
 最近景気が悪くて、そのお仕事がなかなかない。
これは、とても困ったことだと思う。ほんと。

 苦労はしても、一所懸命に働きたいと実はわたしなんかも
マジで思っているのである。きっと、みんなもそうだろう。

 やってらんないよ。

とかいいながら、やっぱりその大切さはよく分かっている。

 仕事は、食べ物でたとえれば、デザートではない。
あたたかな真っ白なご飯。ごく当たり前。何の面白みもない。
ふだん、それほど目立たない。それがご飯。

 でも、大根おろしとか、味噌汁とか、納豆とかと組み合わせると美味い。五臓六腑に染み渡るのである。
 死ぬ前に、世の中であなたの一番好きなものを食べていいですよと言われたら、わたしは、炊き立てのご飯に大根おろしとしらすをのせてホクホクと食べるのである。
(ちょっといま腹減ってるから、脱線してる)
 それほどご飯は目立たないけれど重要なものである。

 それと同じように、お仕事は、毎日毎日のことであり、わたしたちの人生にとって大変にありがたくもあり重要なことである。(ということが言いたかった)


          (つづく)

     その二