「 赤ちゃんの頃のソーラさん そのニ 」



 何でも、噛んで、スリッパとか、引っ張りまわしたり、振り回したりするのだ。今、思い出してみると、なかなかに猛々しいのである。生意気だと思いませんか? カワイイばかりではないのである。

 今、思うと、もしかすると、教育方針が少し厳しかったかもしれない。おしっこのしつけとか、すこし厳しかったかもしれない。もう少し、ペースを落としてもよかったかしれない。そこらで平気でおしっこをしまくるような犬になってほしくはなかったが、よその犬を見ていても、そんなしまりのない犬はあまり見たことがない。時期が来なければ、解決しない問題もあるのだ。

 そんな、生意気に見えるソーラさんを無理に抱き上げようと思った。すると、嫌がってしゃにむに飛び降りた。子犬のソーラさんが1メートルくらいの高さから落ちた。落としてしまった。
 
 キャンとないた。それから、しばらくわたしを見ると、体を震わして怯えていた。もしかすると、あのとき、背中を痛めたかもしれない。大人になったソーラさんの背中が、一部急角度で曲がっているところがある。アスカさんの背中は真っ直ぐで、そんなことはないのである。 

 見る見るうちに、子犬は大きくなる。もともと小型のミニダックスであるが、それでも、どんどん大きくなった。子犬用のドライフードを食べ始めたのもあっという間だった。

 よく餌を残していた。見向きもしないのだ。グルメでわがままなのか。これも、単に過保護でたくさんあげすぎていたのだと思う。お腹がすけば、どんどん食べるのだ。今なんか、ものすごい勢いで食べる。やはり教育方針に少し問題があるのでは? しかし、わたしやおやじさんたちも、そう経験があることでもなし、あるていど仕方がないと思う。まずいかなと思えば修正すればいい。

 お散歩にはよく行った。小さな体で、ちょこちょこと歩くのは大好きでどんどん歩いた。その点は正解。

                    (つづく) 
     その三