「 まさか、ひとりで食べちゃうんじゃないよね 」



 いつも、ソーラさんはゲインズの成犬用を、アスカさんはシニア用を食べている(そうなるよう、努力している)が、そのようにもって行こうとしても、ソーラさんはアスカさんの分を食べたがり、アスカさんはソーラさんの分を食べたがる。目の前に置いてあるのに、わざわざ別の方へ小走りに向かうのである。

 このように、何に対しても、興味津々で、食べたがる。どんな味なのか食べてみたいようだ。わたしが食べているものに特に興味があるみたい(他にいつもは誰もいないけれど)。ご飯でも、サラダでも、当然、お肉でも、魚でも、わたしの食べるものは何でも食べてみたいようだ。

 そんなにお腹が空いているわけでもないようなのに。実際わたしも、食事の後のデザートとか、間食のせんべいとか、よく食べるわけで、特に腹も減っていないのである。口寂しく、また、それがおいしいから食べるのである。食は芸術である。おいしいものを食べるために、人間は多くの時間と努力を費やすのであるが。彼女たちも、基本的に同じようだ。おいしいものをよく知っているのである。

 彼女たちは確かに犬であるが、ほんとに何でも食べるのである(当然ではあるが)。
         
             ( つづく ) 


     その二