「 威張り屋のソーラさん 」 



 最近、というかもう昔からそうだけれど、
彼女たちは犬であるにもかかわらず、ご主人の命令に従わない。

 食事をあげるとき、一応の芸をしてもらうことになっているのだが、
これがいつもなかなかやってはくれないのだ。

 芸には、「お鼻」と言うのがある。
これは、わたしの(一応ご主人)の考え出したオリジナルかもしれない。
指を筒型にして床に置く。そこに彼女たちの鼻を入れてもらう。

 ミニダックスの鼻は、それなりに小型に出来ているので、
ちょうど指で作った筒に、するりと収まる。
これは、案外自然な動作かもしれない。
犬でも、人間でも、基本的に、なんにでも鼻を突っ込みたくなるのであろう。

 ソーラさんは、子供のときにうちに来たから、この芸を覚えてもらったが、
アスカさんは、途中から8歳くらいのときにウチへやって来たので、
ほとんど芸と言うものが教えられていなかった。
それでもこの「お鼻」だけはアッというまに覚えたのだ。
しゃにむに鼻を突き出し突進してくればOKが出るのである。

 芸には、ほかにも
「くるっと回れ」 「お手」 「おかわり」 「コロりん」 「伏せ」 
「ずーと伏せ」 「お座り」 「ハウス」 
など、かなりのレパートリーがある。

  ソーラさんは、子供の時からの、厳しい鍛錬の結果、
これらすべてをことごとくマスターしている。
アスカさんは、このうちのいくつかを年をとってからマスターせざるを得なかった。
 
             ( つづく )  

      その二