12 YAMAHA FG-202B ( ヤマハ FG−202B )



 FGシリーズは、黒ラベルからオレンジラベルへ。
オレンジラベルでもFGー202という番号から、FGー202Bという風に数字の後ろに「B」が着く。

 この頃から、一般普及用はFGシリーズ、手工本格ギターはLシリーズとさらにクオリティーが分かれるようになる。
 それ以前は、生産開始当初のFGー180などは、普及用と本格派と分かれてなかった。だから全体にFGの質が高かったと言える。試作の時期であろうが、合板であろうが、全力投球でFGを作っていた。

 しかし、このあたりから、FGシリーズは、一般普及用として木の質が落ちたという人もある。
 生産方法も、手作業から、機械やコンピューターに切り替わったと言われるが、詳しくは解らない。

 とは言え、このギター。自分としてはとても気に入っている。
形も、ボディの大きさも微妙につくられてい。
フォークタイプで小ぶりに見えるけど、けっこう大きい。
音量が割りと出て、フォークタイプの特徴であるサステインも利いている。

 所蔵ギターの中にFG−302Bという同じシリーズの兄弟ギターもあります。こちらはあまり弾いてもらってなかったみたいで、ぜんぜん鳴ってないです。
それに比べこちら、このFG−202Bはよく弾いてもらったみたいで、とてもよく鳴ってます。
FG−302Bの方が値段は一万円高く設定されているけれど、FGに関しては最低価格帯に名器が潜んでいたりします。
 弦を変えてあげて弾くとかなりいい感じです。バランスがいいんです。

 今、職場の方に。
何度かハーモニカおじさんの伴奏で活躍しました。
一枚写真を撮って置いたので下に乗せました。

 1977年、78年頃。
 高校3年生で、受験も終わり、卒業式も真近のころ、友達が付き合ってくれて、第一号のマイギターを買いに出かけた。お茶ノ水。
 大して試奏することもなくFGー402Bというギターを買った。
友達が、もっと迷っていろいろ考えて買えばいいのに、ずいぶん簡単に決めちゃうんだねー、と残念がっていた。でもすぐにフォークタイプを迷いなく選んでしまった。

 そのギター、FGー402Bはとにかくものすごく弾いた。片時も離さずそばに置いた。指でも弾いたし、ピックを使ってそれこそ壊れるくらいガンガンとかき鳴らしたりもした。
 鏡の前で、そのギターを抱えて、覚えたての曲を歌ってみたりもした。ナルちゃんかな?

 カセットテープが当時主流で、生録デンスケが流行っていた。
自分もテクニクスの生録デッキを買ってステレオマイクを使って、録音してみた。
いまからすれば通学カバンよりも重たく大きな代物。当時としては画期的に軽かったのだけれど。カセットテープの発明普及による。当時その重いデッキを、ひょこひょこ肩にかけて持ち歩いていた。すごい体力。自分のうたも録音してみた。今は、MDで充分いい音だし、あんなに軽くて小さいのに、デンスケの頃は、重くて大きかった。
 
 歌の録音は、間違えると、何度も取り直して、周りはうるさかったと思う。だから放課後の使ってない教室とかに、こっそりと入っていって、誰もいない空間を探して、そこで大声を張り上げていた。のんびりした学校だったので…、そんな空き部屋が…。それで聞きなおしてはまた覚えたり、ちょっと変えてみたりした。

 そのギターで、寮祭デビューを飾った。土曜日の夕方、即席バンドの演奏や出し物があり、そこに参加してコードを弾いたり、リードをとったり楽しかった。歌の伴奏ではテープを渡されるので何回も聞いて音を取った。この音を耳で聞き取る作業が、後にも先にも、とてもよい鍛錬になった。それに向けてずいぶん繰り返し練習した。
 そのときこのギター、ヤマハFGー402Bが一緒だった。

 しかし、専門学校が終わる頃、就職が決り、卒業式も間近のころ、新しいギターを買おうと思って、そのギターは友達へ売ってしまった。
 誰でも最初はそう思う。いいギター買うんだから、古い安いギターはもういらないってね。
 ところがあとにも先にも、一本のギターをこれほど徹底的に弾きまくると言うことはその後ないのであった。最初にして最も貴重なギターだったと思う。音がこなれていて半端じゃない。今から思えばよく音が出ていた。

 ここで話を戻します。
このページで紹介するヤマハFG202Bは、その同じシリーズの兄弟ギターなのです。所蔵のFG−302Bも兄弟ギター。FG−152Bも兄弟ギター。同じシリーズのオレンジラベル。

 中古楽器店でこの10年ほどFG−402Bはないかと探しているのですが、お目にかかりません。それで、とりあえずこのFG−202Bをゲット。

 FG−402Bは後ろが3peace backになっていて、ちょっとめずらしいです。

 一度雑誌を見ていたら大阪の方の楽器屋で中古が出ていた。
しかし、電話してみたらもう売れてしまっていた。なかなかめぐりあいません。

        ( 文 2006.2.17 )





モデル名 YAMAHA FG-202B
製作年 1978年
top エゾ松合板
side & back サベリ合板
neck ナトー
bridge & fingerboard ローズウッド
ラベル オレンジ楕円
弦長 636mm
製作地 日本製
特徴 フォークタイプだが、ボディは案外に大きい。
購入時のエピソード 2000年の秋頃。ハーモニカおじさんの伴奏目的で、御茶ノ水の中古楽器屋で購入。迷わずゲット。



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